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法と社会研究
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法と社会研究 第9号
《法と社会研究》第9号(2024年卷)
目 次
Articles
卷首论文
法社会学是怎样的学问? (法社会学とはどのような学問か)
作者:馬場健一 神户大学教授、日本法社会学学会主席
論文要旨:
本稿は法社会学を、広狭二義すなわち、広義には「法の社会科学」と、狭義 には「法の社会学」と捉え、そのように考えるべき理由と両者の関係とを論じることを通じて、法社会学の方法や対象をいかにとらえるべきかについての筆者の考えを述べる。まず従来の「法の経験科学」との位置づけが、狭義で、また法社会学の全体像を十分汲みえておらず体系性・総合性において不十分であることを論じる。次に法社会学方法論の中核に社会学を位置づけ、狭義の法社会学を「法の社会学」とすることで、その全体像を包摂し体系性を確保しつつ、対象を適切に設定できる可能性を示す。法社会学とは、近代以降の法を対象とする社会科学であり、その中核は、法学・法実務を含む法現象を批判的に考察する、改革志向を有する法の社会学である。このような意味で法社会学は、固有の本質を持つ社会科学の独立した一分野であることを示す。
キーワード:
法社会学、法の社会科学、法の社会学、法学批判、法社会学の固有性
论文摘要:本文将法社会学分为广义和狭义两种理解,即广义上的“法的社会科学(Social Science of Law)”和狭义上的“法的社会学(Sociology of Law)”,通过论述为什么要这样区分两者以及二者之间的关系,来阐述作者对于法社会学方法和对象的观点。首先,本文论证了在传统的“法的经验(Empirical)科学”的狭义定位下,其未能充分涵盖法社会学的所有领域,而且在体系性和综合性方面存在不足。其次,本文展示了将社会学置于法社会学方法论的核心、通过将狭义的法社会学定义为“法的社会学”的方法,可以在包含所有领域、并确保体系性的同时,适当地设定研究对象的可能性。法社会学是自近代以来以法为研究对象的社会科学,其核心是批判性地考察包括法学和法律实务在内的法律现象、且以改革为目标的法的社会学。在如此意义上的法社会学,展示了其作为社会科学中独立学科的固有本质。
关键词:法社会学,法的社会学科学,法的社会学,法学批判,法社会学的固有性
Ⅰ 法社会学是怎样的学问?
Ⅱ 法的社会科学
Ⅲ 法的社会学
Ⅳ 法学批判
Ⅴ 法社会学的独特性
Ⅰ 法社会学とはどのような学問か
Ⅱ 法の社会科学
Ⅲ 法の社会学
Ⅳ 法学批判
Ⅴ 法社会学の固有性
特别论文
法社会学中混合研究法方法的可能性(法社会学における混合研究法アプローチの可能性)
作者:山口 絢 千叶大学副教授(论文发表时点为东海大学讲师)
論文要旨:
本稿は、研究プロジェクトにおいて量的研究と質的研究を混合・統合する「混合研究法」について、その概要を述べた上で、国内外の混合研究法を用いた法社会学研究の事例を分析し、混合研究法アプローチを用いる意義と課題について検討するものである。日本の法社会学研究において、混合研究法を用いたと明示している研究は少ないものの、Law&Society Reviewの論文においては混合研究法アプローチを用いた研究が複数発表されている。Law&Society Reviewの論文は収斂、探索的順次、説明的順次デザインなど多様なデザインが採用された半面、混合研究法を採用する理由を明記していないことがあった。他方、日本の法社会学研究において説明的順次デザインあるいはそれに近いデザインが複数見られた。これら混合研究法を用いた法社会学研究の意義として、複雑・多層的な研究対象に対して、複数の角度からの考察が可能になることを挙げられる。最後に、今後の課題として、個人研究か共同研究か、量的研究と質的研究に精通した研究者の育成などを指摘した。
キーワード:
混合研究法、量的研究、質的研究、研究デザイン、社会調査
论文摘要:本文旨在介绍研究项目中将定量研究与定性研究相结合的“混合研究方法(Mixed Methods Research)”,并在介绍概要的基础上分析(日本)国内外采用混合研究方法进行法社会学研究的例子、探讨使用混合研究方法的意义与课题。尽管在日本的法社会学研究中,明确采用混合研究方法的研究较少,但在《Law & Society Review》期刊中,已有多篇论文采用了混合研究方法。《Law & Society Review》期刊的论文采用了包括聚敛式设计(Convergent Design)、探索性序列设计(Exploratory Sequential Design)和解释型序列设计(Explanatory Sequential Design)在内的多种设计方法,然而,有些论文未明确说明采用混合研究方法的理由。另外,在日本的法社会学研究中,已经观察到了一些采用解释型序列设计或类似设计的研究。这些采用混合研究方法的法社会学研究的意义在于,能够从多个角度对复杂且多层次的研究对象进行考察。最后,作为今后的课题,不管是个人研究还是合作研究,培养熟练掌握定量研究与定性研究的研究人员是一个重要的问题。
关键词:混合研究法,定量研究,定性研究,研究设计,社会调查
Ⅰ 引言
Ⅱ 什么是混合研究法
Ⅲ 使用混合研究法的法社会学研究
Ⅳ 使用混合研究法的法社会学研究课题
Ⅴ 结论
Ⅰ はじめに
Ⅱ 混合研究法とはなにか
Ⅲ 混合研究法を用いた法社会学的研究
Ⅳ 混合研究法を用いた法社会学的研究の課題
Ⅴ おわりに
关于《日本的良心囚徒》的写作(『日本の良心の囚人』の執筆について)
作者:Lawrence Repeta 华盛顿州律师,原华盛顿大学、明治大学客座教授
注:『日本の良心の囚人』为该书日语译名,原书使用英语写作,具体请见Repeta, L. (2022). Japan’s Prisoners of Conscience: Protest and Law During the Iraq War (1st ed.). Routledge.
論文要旨:
2004年の自衛隊イラク派遣に抗議する反戦ビラを配布したことで刑事訴追を受けた3名の反戦運動家についての、著者の調査研究の体験を論じる。この立川反戦ビラ配布事件は、1946年に日本国憲法が公布されて以来、盛んに議論がなされて来ている重大な問題と関連している。すなわち、第9条の反戦平和主義規定、および基本的人権の保障、その中の本件で問題となったのは言論の自由に関する問題である。3名の反戦運動家は住居侵入・不法侵入の罪で訴追されたが、政治的発言について言論の自由の保護を重視する東京地方裁判所は無罪判決を言い渡した。この無罪判決は東京高等裁判所によって逆転され有罪となり、この有罪判決に対する被告人らの上告は最高裁判所によって棄却され確定した。最高裁判所は「公共の利益」という暖昧な基準を適用して被告人らの言論の自由による保護の主張を否定した。本論文では、最高裁判所判決と東京地方裁判所判決が本件をどのように描写したかを対比させるとともに、その他の様々な情報源に基づいて本件を再検討している。本論文では、政治運動家への支援および事案の顛末の記録作成の上でヴォランテイアの人々が果たした決定的に重要な役割に光を当てている。さらに基本的人権に関わる事案でありながら、事件としては軽微な刑事事件であった本件に国民の注目を集める上でニューズメディアが果たした役割についても検討している。
キーワード:
言論の自由、日本国憲法第9条、イラク戦争、リーガル・リサーチ(法的調査)
论文摘要:本文讨论了作者对于三名反战人士的调查研究经历,他们因在2004年发放关于抗议自卫队出兵伊拉克的反战传单而遭到刑事起诉。立川反战传单发放事件与自1946年日本国宪法公布以来一直受到广泛讨论的一个重大问题相关。即,日本宪法第9条的反战和平主义规定以及基本人权的保障,其中,本案涉及的问题是言论自由。这三名反战人士(进入自卫队居住的帐篷村发放反战传单)被以住居侵入、非法侵入罪(日本刑法第130条)的罪名起诉,注重言论自由保护的东京地方(八王子)法院判决他们无罪。但这一无罪判决被东京高等法院推翻,改判为有罪,被告人对该有罪判决的上诉被最高法院驳回并维持二审判决。最高法院以“公共利益”这一模糊标,否定了被告受到言论自由保护的主张。本文对比了最高法院的判决和东京地方法院的判决对本案如何描述,并通过其他信息再次审视本案。本文探讨了志愿者在支持政治人士和记录案件过程中所发挥的决定性作用。此外,在作为一件基本人权案件的同时,本文还考察了在这次轻微刑事案件中,在吸引公众的关注上新闻媒体起到了怎样的作用。
关键词:言论自由,日本国宪法第9条(和平宪法条款),伊拉克战争,法的调查
Ⅰ 最高法院判决
Ⅱ 地方法院判决
Ⅲ 主要的新闻报道
Ⅳ 其他信息来源
Ⅴ 立川的历史
Ⅵ 帐篷(テント)村的声音
Ⅶ 法庭内的动态
Ⅷ 结论
Ⅰ 最高裁判所判決
Ⅱ 地方裁判所判決
Ⅲ 主要な新聞の報道
Ⅳ その他の情報源
Ⅴ 立川の歴史
Ⅵ テント村の声
Ⅶ 法廷内での動き
Ⅷ おわりに
注:摘要中的立川是东京都的立川市,是该事件的发生地区;该案一审判决裁判文书见东京地方裁判所八王子支部·平成16年12月16日判決,载于判例時報1892号150页(2005年);二审法院判处10万至20万日元(约合5000至10000人民币)的罚金刑,裁判文书见东京高等裁判所·平成17年12月9日判決,载于判例時報1949号168页(2007年);终审判决裁判文书见最高裁判所第二小法廷·平成20年4月11日判决,载于最高裁判所判例集·刑集第62卷5号1217页(2008年);以上裁判文书电子版请见日本国最高裁判所判例数据库;另外,被告人陈述意见见立川・反戦ビラ弾圧救援会编著的『立川反戦ビラ入れ事件 「安心」社会がもたらす言論の不自由』中2004年11月04日项目, 明石書店(2005,东京)。
对“社会问题”发表意见的法学者——1950年代的《妇人公论》与川岛武宜(「社会問題」を発信する法学者―1950年代の『婦人公論』と川島武宜)
作者:郭 薇 北海道大学副教授
論文要旨:
法学者は研究論文の公表以外に、マスメディアを通して社会問題をめぐる見解を提供することもよく見られる。しかし、こうした情報発信の特徴とその効果については、殆ど解明されていない。本稿では、戦後法学を代表する研究者である川島武宜が1950年代に女性誌『婦人公論』に投稿した社会批判の言説構造とその受容を分析し、家族制度の改革に対する彼の議論の意義と限界を検討する。結果、川島による家族制度論は、当時の民主化改革に同調する対等的な男女関係の理念像に支えられていたものの、現実の家族問題の対応として、個人の意図よりも、経済状況など現実の制度的因子を強調する「方法論的パターナリズム」が見られる。このような議論は、彼自身の研究スタイルとメディア環境の適応によって形成られており、「保守的」な言説として受け止められる側面がある。
キーワード:
法学者、専門家の情報発信、戦後法学、メディア研究、市民社会論
论文摘要:法学者除了公开发表研究论文外,还会经常通过社会媒体公开发表对社会问题的意见。然而,这种公开发表意见的行为,其特点和效果几乎未被阐明过。本文以社会批判的语言结构及其接纳情况作为切入点,分析了战后法学的代表性研究者川岛武宜(1909—1992,东京大学教授,我妻荣门下)于19世纪50年代在女性杂志《妇人公论》上的投稿,并探讨了他此前对于家庭制度改革论述的意义与局限。结果显示,川岛的家庭制度理论虽然得到了当时与民主化改革步调一致的平等男女理念的支持,但在应对现实家庭问题时,相比于(尊重)个人意愿,他表现出了一种更为强调经济状况等现实制度因素的“方法论上的家长主义”。这种意见是由他自身的研究风格和对于媒体环境的适应所形成的,并且具有被作为“保守性”言论理解的一面。
关键词:法学者,专家公开发表意见,战后法学,媒体研究,公民社会理论(Civil Society Studies)
Ⅰ 本文的目的
Ⅱ 研究设计
Ⅲ 从连载文章看川岛的家族(制度)论
Ⅳ 座谈会中的叙述与“冲突”
Ⅴ 若干分析
Ⅵ 结论
Ⅰ 本稿の目的
Ⅱ 研究のデザイン
Ⅲ 連載記事から見る川島の家族(制度)論
Ⅳ 座談会での語りと「衝突」
Ⅴ 若干の分析
Ⅵ おわりに
注:该文讨论的对象是川岛在『婦人公論』上连载的「自由結婚を阻むもの(1955,40-1号)」「男女交際のエチケット(1955, 40-2号)」「婚礼について(1955,4号)」「夫婦関係の四つの型1、2、3、4(1955, 40-5~8号)」「結婚と経済(1955, 40-9号)」「離婚のモラル(1955, 40-10号)」「道徳の過剰(1955, 40-11号)」「家庭の不和と法律(1955, 40-12号)」;座谈会为「嫁と姑の相剋はどう解決するか(1951,37-6号)」「ある離婚判決への批判(1955,40-8号)」「女性の能力を再検討する(1957,42-7号)」
小特集・共同研究
小特集的宗旨:对律师的信任与选择(〈小特集の趣旨〉弁護士への信頼と選択)
作者:村山眞維 明治大学荣休教授、原国际法社会学(RCSL)学会主席
注:此项研究为日本文部科学省科学研究费助成事业中A类基盘研究「法専門職の階層分化と弁護士イメージの変容(JP17H00964,明治大学)」、A类基盘研究「人工知能によるオンライン紛争解決(ODR)システムの構築(JP22H00543,日本国立情报学研究所)」、A类基盘研究「リーガル・マインドの認知脳科学探究(JP23H00036,明治大学)」和日本司法协会共同研究助成「弁護士イメージの変容と弁護士アクセスに対するそのインパクト(20-2,明治大学)」的研究成果之一。
对律师的信任与选择(弁護士への信頼と選択)
作者:村山眞維 明治大学荣休教授、原国际法社会学(RCSL)学会主席
作者:太田勝造 东京大学荣休教授、明治大学特聘教授
作者:Daniel Harrington Foote 华盛顿大学教授、东京大学教授
作者:杉野 勇 御茶水女子大学教授
作者:飯 考行 专修大学教授
作者:石田京子 早稻田大学教授
作者:森 大輔 熊本大学副教授
作者:椛嶋裕之 日本律师协会常任理事、东京律师协会副会长
論文要旨:
この共同研究においては、依頼者と弁護士の関係をプリンシパル・エイジェント関係と捉え、エイジェントである弁護士に対する国民の基礎的な信頼がどのようなものであるかを探索するとともに、これまでアクセス調査で見出されてきた弁護士へのアクセスを促進する情報の中で特に重視されるものは何かを明らかにした。また、情報を伝達する媒体を国民がどう受け止めているかをも検討した。また、ジェンダーによって、さらには、弁護士へのツテの有無によって、情報の評価に違いがあるかも検証した。弁護士に対する国民の信頼のべースラインと弁護士選択における国民の関心の基本的構成要素を明らかにし、ジェンダーと弁護士とのツテがどのように影響するかを明らかにすることができた。末尾に、本研究の知見の意義についての4つのコメントが付されている。
キーワード:
弁護士へのアクセス、プリンシパル・エイジェント関係、弁護士への信頼、弁護士選択において重視される情報、ジェンダーと弁護士選択、弁護士へのツテと弁護士選択
论文摘要:在本次合作研究中,我们将委托人与律师的关系视为委托-代理(Principal-Agent)关系,以此来探索公众对于作为代理人的律师有着怎样的基本信任,同时我们也借此研究确认了在以往的采访调查中发现的可以促进公众与律师接触(商谈)的信息中,有哪些信息被特别关注。此外,我们还考察了公众如何看待信息的传递媒介。另外,我们还考察了性别和与律师的关系网,两者是否会对信息的评价产生差异。本研究明确公众对于律师的信任基准和在选择律师时公众所关注的基本要素,也确认性别和与律师的关系网如何在这其中产生影响。最后,附上了关于本研究主要发现的意义的四条评论。
关键词:选择律师的途径(方法),委托-代理(Principal-Agent)关系,对律师的信任,在选择律师时所关注的信息,性别与选择律师(的方法),与律师关系网和选择律师(的方法)
Ⅰ 律师的基本形象与对律师的信任
Ⅱ 涉及选择律师的情报
Ⅲ 人们对信息传播媒介的评价
Ⅳ 律师的选择与性别
Ⅴ 律师的关系网(ツテ)·对利用经验的信任和对于选择(律师)的影响
Ⅵ 评论——基于诉讼当事人调查的结果
Ⅶ 实务家评论
Ⅷ 对“实务家评论”的评论1——社会科学研究与实务的关心之间
Ⅸ 评论2——法律与社会研究的存在方式与使用方法
Ⅰ 弁護士の基本イメージと弁護士への信頼
Ⅱ 弁護士選択に関わる情報
Ⅲ 情報伝達メディアに対する人々の評価
Ⅳ 弁護士選択とジェンダー
V 弁護士のツテ・利用経験の信頼と選択への影響
Ⅵ コメント―訴訟当事者調査の結果を踏まえて
Ⅶ 実務家コメント
Ⅷ 「実務家コメント」へのコメント1―社会科学的研究と実務的関心の間
Ⅸ コメント2―法と社会研究の在り方と使い方
编辑:犇犇
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