「会社法」改正における有限責任会社に関する要点について(一)

文摘   2024-06-27 15:02   日本  
ダン・リーグ法律事務所
エクイティパートナー弁護士 張 磊


 周知のように、全国人民代表大会常務委員会は2023年末に改正「会社法」を可決した。今回の改正では、2018年版の「会社法」の一部の条項が削除され、計300条近くの内容が新規追加、改正され、改正幅は、当該法律が1993年に公布されて以来、過去最大となった。筆者のチームは長期にわたって外商投資企業に法律サービスを提供している。これらの企業のほとんどは有限責任会社であり、今回の改正における有限責任会社に適用される条項に適時に注目する必要があると思われる。2024年7月1日から正式に施行されることに鑑み、ここに関連する要点を以下の通り纏める。


総則の部分

1.「中国の特色ある現代企業制度とその関連制度の要求」

 可決された「会社法」の改正版では、「中国の特色ある現代企業制度を整備する」という立法目的の解釈が出てきた。当該表現は、同年開かれた中国共産党第二十回大会の決議に関する内容として、2022年末の二次審議稿に初めて使われた。では、中国の特色ある現代企業制度は一体どのような制度なのか、当該制度に関連して、企業は改正版のどの条項を注目すべきだろうか。

 第二十回全国代表大会の報告に関する権威ある公式の解釈によると、いわゆる特色は概ね下記の二点に表れている。

1)党の指導と党の建設
 その中で、国有企業及び国有株支配企業については、「党建設の定款への記載」(数年前から展開されている)及び「党委員会(党部会)による重大事項の前倒し研究討論メカニズム」(党組織に企業の組織構造における地位と権限を与えたもの)を強調している。
 国有株がないか、又は国有株が支配していない企業(民間企業又は外商投資企業を含む)については、党建設、党組織による指導の定款への記載は強制的に要求されていないため、過度な解釈を行う必要はない。
2)民主的管理
 今回の改正に関する数回の意見募集稿においては、企業の民主的管理を強化するという項目は基本的に変わっていない。強調されている内容は下記の通りである。
  • 従業員代表大会を基本形式とする民主管理制度

 ‐‐従業員代表大会制度は労働組合制度と密接に関連している。そのため、法律の規定に厳格に従えば、労働組合、従業員代表大会は企業の経営決定における重要な存在となる。

  • 企業が「制度改変、解散、破産申し立て」及び経営上の重大な問題を研究し、会社の重要な規則制度を制定するにあたり、労働組合、従業員側の意見を聞くべきであること。

 ‐‐現行の「会社法」と比べて、今回の改正では、「解散」、「破産申し立て」の場合に民主的管理プロセスを踏む必要がある旨が追加された。

  • 民主的管理自体は「従業員董事」、「従業員監事」の設置にも係わるが、これに関する解説は有限責任会社の組織構造に関する部分において紹介する。


2. 法定代表者

 2018年版と比べて、今回の改正によって、法定代表者を董事長、執行董事又は総経理が務めるという従来の規定が廃止され、「会社を代表して会社の事務を執行する董事又は総経理が務める」ことになった。
 留意すべきなのは、今回の改正では、董事長が残されたこと、即ち有限責任会社が董事会を設置した場合、董事長はまだ存在することである。そのため、現在、董事長、総経理が法定代表者を務めている会社の場合、会社法の改正に伴って改任する必要はないが、現行の定款に法定代表者の選出に関する規定を追加する必要はあるかと思われる。今回の改正によって、「執行董事」の役職と設置が廃止され、「小規模又は株主数の少ない有限責任会社は、董事会を設置せず、董事1人を置き、本法に定める董事会の職権を行使することができる」となったため、現在、執行董事が法定代表者を務めている会社は、定款の表現や規定を適宜改正する必要がある。




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