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『世界の日本研究』2023年号は世界各地の日本研究について、国際日本文化研究センターの外国人研究員による八つのレポートを紹介する。東アジア、オセアニア、ヨーロッパ、アメリカで長年研究を重ね、学術界の動向を観察するとともに、若手研究者の育成に も携わってきた方々による分析と考察であり、読み応えのある内容である。
まず、スティーブン・ドッド氏 (Stephen Dodd) の“The State of Japanese Studies at SOAS, University of London”(ロンドン大学 SOAS における日本研究の現状)は、イギリスで日本研究を牽引してきた研究教育機関の一つである同校について、近年の多様化する学生のニーズにあわせた教育プログラムを詳細に紹介する。また、SOAS内にある日本研究センターの活動と所属研究者の業績も報告する。
次に、デンニッツァ・ガブラコヴァ氏(Dennitza Gabrakova) の“Japanese Studies in the ‘Head of the Fish': Thinking of Sustainability”(「魚の頭」の中の日本研究)は、ニュージーランドのウェリントン・ヴィクトリア大学における日本研究の歴史と現状を報告し、現在の不安定な状況に対し研究や教育における持続可能性の大切さを主張する。
堀内アニック氏(Annick Horiuchi) の“Recent Trends in Scholarship on Early Modern Japanese Print Culture”(近世日本の出版文化に関する最近の研究動向)は、同テーマについての英語とフランス語による最近の研究成果を書評形式で紹介する。様々な種類の出版物 の制作、流通、受容を通して、近世社会で情報がどう伝達され、知識がどう広がっていったかを探る研究が、ヨーロッパやアメリカで増えていることを明らかにする。
許佩賢氏の「日本統治時代台湾教育史の基本史料と台湾における近年の研究概況について」は、行政機関の文書から統計書や学校アルバムまで、同テーマに関する様々なレベル の史料をわかりやすく整理し、近年の史料集成と研究の状況についても紹介する。また、この分野の史料のデジタル化および公開化が台湾と日本で進んでいることにも触れる。今後研究を計画する者への有用な案内書であることは間違いない。
呂順長氏の「中国学界における清代中日文化交流史研究の回顧」は、清代の日中文化交流についての研究を、清朝末期から中華民国時代を経て、中華人民共和国成立以降の現代 まで追った力作である。200点以上の膨大な著書と論文が、時代と分野に分けて紹介され ており、中国におけるこの分野の研究の推移、特に1980年代以降の大きな発展をたどるこ とができる。
スティーヴェン・ロディ氏 (Stephen Roddy) の“Advancing Japanese Studies in San Francisco”(サンフランシスコの日本研究)は、サンフランシスコと日本の歴史的繋がりを紹介し、サンフランシスコ大学での日本研究と教育の状況について報告する。イエズス会系の同大学が、仏教団体からの援助で日本研究を行い、禅や茶道など現地の文化活動にも関わっているという独自の発展の経緯を知ることができる。
王志松氏の「翻訳文体の魅惑と欲望の投影一一現代中国における村上春樹文学の受容」 は、主に2009年以降の中国における、村上春樹作品の翻訳出版とその受容の変遷について考察する。出版社の商業活動、日中関係を反映した政治的議論、日本学研究者らが展開した翻訳をめぐる批評空間の影響関係を知ることができ興味深い。
張龍妹氏の「中国における日本古典文学研究の現状及び動向」は、日本古典文学につい ての優秀な修士論文、博士論文、学術論文、国家の研究資金を獲得した研究プロジェクト を調査し、それらを通して見えてくる近年の研究内容を分析する。国外では情報を得にく い若手の研究や現在進行形の研究が紹介されており、今後の傾向を予測する上で貴重であ る。
2023年は新型コロナウイルス感染症による行動制限が解かれ、国際的な学術交流が勢い を取り戻しつつある。過去の蓄積と未来の展望を示す本号の論文がこれからの日本研究の参考になればと願う。最後に、原稿を執筆して下さった著者の方々と校正・校閲作業にご尽力いただいた方々に感謝の意を表したい。
来源:国际日本文化研究中心
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