中国でCCDカメラが大きな話題となっている。ソーシャルコマースプラットフォームの「小紅書」では、CCD関連の話題の閲覧数が延べ40億4000万回に達し、ショート動画共有アプリ「抖音(中国版TikTok)」では、CCD関連の動画の再生回数が延べ80億2000万回にも達している。
ソーシャルコマースプラットフォームのスクリーンショット
CCDカメラとは、デジタルカメラの一種で、撮像素子であるCharge Coupled Devices(CCD、電荷結合素子)が組み込まれていることから、この名で呼ばれている。明るい場所では、透明感のあるクリアな写真を撮ることができるのがその特徴だ。ただその一方で、サイズや画素数を上げることが難しい点や、暗い場所ではISO感度が低いこと、画像ノイズが発生しやすいこと、ラチチュードが低いことなどが欠点として挙げられる。2010年前後、CMOSイメージセンサが市場で主流になったことで、かつては多くの人が所有していたCCDカメラは少しずつ影を潜めるようになっていった。
しかし最近になって、CCDカメラのようなレトロなカメラが、中国で改めて注目されるようになり、生活を記録するアイテムとして若者の間で人気になっている。そして、以前なら数十元(1元は約20.7円)でもなかなか売れなかった中古のカメラが、1千元以上、ひいてはそれより高い値段で、フリマアプリなどで取引されている。
90後(1990年代生まれ)の女性・唐さんは、「価格は昔の10倍以上に高騰しているのに、周りの友達は皆買っている。私が高校生の時に初めて買ったカメラは、キャノンのCCDカメラで、大学を卒業した時には、すでに時代遅れになっていたので、数十元で売ってしまった。ソーシャルメディアで、魅力的に撮影されているカメラの写真を見て、もう一度買いたいと思ったが、予想をはるかに超える値段になっていた」と話す。
ユーザー・塩海雪条がソーシャルコマースプラットフォームの「小紅書」でシェアしたCCDカメラとスマホで撮った写真(左はCCDカメラで撮った写真)
CCDカメラやフィルムカメラといったレトロなカメラの人気が再燃し、中古品市場のニコンのレンズの値段まで押し上げている。ニコン市場部の関係責任者によると、「生産再開」についての問い合わせもあるという。ニコンはこれをビジネスチャンスと見なし、新商品の研究開発に人気モデルのデザイン要素を取り入れ、シリーズ製品としてレトロ版レンズを生産している。
写真家の付都さんは、「CCDカメラの性能はとっくに時代遅れになっている。それなのに、人気が再燃している理由は、この種のカメラで撮影できる写真が、今の若者の美的センスにマッチしているほか、専門的な技術のハードルも低いから」としている。
またインフルエンサーたちの影響も非常に大きく、ソーシャルメディアで自分が使っているカメラを紹介したことで、フォロワーたちが同じデザインのカメラに注目し、購入している。
ソーシャルコマースプラットフォームの「小紅書」のスクリーンショット
そしてCCDカメラをカメラとしてだけではなく、リュックの飾りにするという意外な使い方をしている人もいる。CCDカメラのデザインは様々で、ユニークなデザインのカメラもあり、そんなカメラにシールやストラップをつけて、個性的にデコレーションしている人もいる。
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