初声读书
初声日语共读小组和大家一起读小说《木曜日にはココアを》,中文名《星期四 喝可可》,作者为日本治愈系作家:青山美智子。
12个温暖的小故事,看上去互不相干但却又有着说不尽的联系,每一篇小故事都在讲述着一个平凡人的故事,却能从这些平凡中看到这个世界的小美好。
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グレイスと交わした数々の手紙は、わたしの少女時代をそれはもう、たいへん豊かなものにしてくれた。グレイスはほんとうに花や木と話ができた。水が欲しいとか日光が足りないとか、植物が求めていることをキャッチするのはもちろん、明日は雨だと教えてもらったり、ただの世間話も楽しんでいた。お母さんとケンカしたことや、好きな男の子ができたこと、日本人の女の子(つまりわたしだ)と文通を始めたこと……グレイスは植物としょっちゅう話をしていて、彼らがどんなふうに答えたのかを、わたしに手紙で知らせてくれた。
いいなあ、とわたしは思った。わたしにはわからない植物の言葉を、グレイスは解読して自分の文章に書き起こし伝えることができるのだ。それはまさしく「翻訳」だった。読んでいるわたしも楽しいけれど、グレイスはもっともっと楽しいに決まっている。
グレイスと植物の関係は大人になっても変わらなかった。彼女はその能力をもてあますことなく驕りもせず、アロマやハーブを通じて、植物から受け取った恵みを感謝しながら人々の生活に役立てている。
ずっと文通を続けていたわたしたちは、20歳のときやっと会うことができた。わたしが大学の夏休みにシドニーを訪れたのだ。空港に迎えに来てくれたグレイスは、わたしの顔を見た瞬間、「なんて黒い瞳。なんて素敵」と何度も賞賛した。シドニーで日本人なんて珍しくもないだろうに、グレイスは繰り返しわたしの黒い目を讃えるのだ。グレイスの瞳だって、透き通ったライトブラウンで、とってもきれいなのに。
「アツコの瞳の黒さは、他の人とは違う。あなたの瞳には濁りがないわ。だからいろいろなものがはっきりと映るのよ。人が気づかないようなことも、アツコにはちゃんと見えるのよ」
自分の目なんて、今まで好きでも嫌いでもなかった。でもグレイスにそう言われると、なんだかわたしにも特別な力があるような気がして、勇気が湧いてくるのだった。
大学の英文科を卒業すると、わたしは小さな翻訳会社に就職した。そこでは、輸入品の説明書や機械のマニュアルを翻訳するのが主な仕事だった。れっきとした翻訳の職に就いたといえる。誇りがないわけじゃなかった。
でもわたしはやっぱり、文学の翻訳をしたかった。翻訳家として書籍を出版したかった。
翻訳家への道は険しかった。公募を見つけてはトライし続けた文芸翻訳のコンテストには落ちてばかりだったし、稀に佳作に引っかかったところで翻訳家になれるわけではなかった。
何度落選しても、その痛みに慣れることはなかった。いつだって「今度こそ」と思って出すのだから。郵送した翻訳原稿はただの紙屑になり、Webでデータ送信したときはまるで最初から何もなかったかのように、費やした時間と労力と想いが消えていく。大賞入選者の翻訳を読むたびに、わたしと何が違うのだろうとため息をついた。
それでもグレイスはわたし以上に、わたしが翻訳家になると信じて疑わなかった。
「アツコの夢はきっとかなう。きっと素晴らしい翻訳家になるわ。私が保証する」というのがグレイスの口ぐせだった。その言葉がどれだけ心強かったか知れない。彼女がそう言ってくれるならそうなのかもしれないと、わたしはグレイスを信じることで自分の未来に希望を託すことができたのだ
知识点
主役
R
知识点
文本校对
音频后期
桐人papa
グレイス
小菅
往期内容回顾
第八章 ラフルさんの一番良き日①
第八章 ラフルさんの一番良き日②
第八章 ラフルさんの一番良き日③
第八章 ラフルさんの一番良き日④
第九章 帰ってきた魔女①
第九章 帰ってきた魔女②
第九章 帰ってきた魔③
第九章 帰ってきた魔④
第十章 あなたに出会わなければ①
排版:爱夜
校对:御子