日语美文朗读:本より雑誌が好きです・松浦弥太郎

文摘   教育   2024-09-21 21:37   湖南  





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朗読者:中村紀子

作品:『本より雑誌が好きです。』松浦弥太郎 

BGM:Steve Gibbs - Råklipp






『本より雑誌が好きです。』
松浦弥太郎

 いや、好きというよりも、雑誌には深い親しみがあります。いつからか、暮らしの中にはいつも雑誌がありました。手を伸ばせばどこにでも雑誌はありました。
 はじめて自分の小遣いで買った雑誌は漫画雑誌でした。しかしそれは雑誌というより漫画を買ったという意識が強い。嬉しさよりもちょっとした罪悪感を抱きました。漫画とはそういうものでした。小学三年の頃です。
 はじめて買って、自分の生活に影響を与えた雑誌が何かと思い出してみれば、メンズ雑誌の「ポパイ」でした。中学一年の頃です。

图源网络

 買った際には本屋で雑誌を袋に入れてもらいましたが、帰り道に袋から出して素手に持って歩きました。「ポパイ」をはじめて買った自分に酔ったのです。いつもより遠回りして家に帰りました。道すがら友人に会い、「それなに?」と訊かれ、「『ポパイ』だよ」と答えた自分にもっと酔いました。歩きながら、右手に持ったり、左手に持ち替えたりして、店先のガラスに映った自分をひとしきり眺めたりしました。昨日までの自分より少しばかりかっこよく見えました。
 今思うと、これが当時の雑誌のちからです。三十年前のこと。子どもから大人になろうとしている多感な十代の頃は、知りたいことが多いのだけれども、わからないことだらけで仕方がありませんでした。少年であることの暮らしにおいて、何をどうしたらよいのか。世の中で何が起きているのか。何を学んだらいいのか。一体自分は何者なのか。とにかくさっぱりわかりませんでした。そのわからないことを教えてくれたのが、僕にとっては誰かではなく雑誌でした。雑誌で知ったことを友人たちと分かち合いながら、その実態を繰り返し確かめました。
 当時は、外国の若者文化が、「ポパイ」を筆頭に、様々な雑誌を通じて僕らに届けられました。何を着たらいいのか、Tシャツの洗い方、ジーパンのすそ丈の長さはどのくらいがいいのか、かばんの持ち方、スニーカーの紐の結び方、手紙の書き方、目玉焼きの食べ方、カメラの扱い方、野宿の仕方、女の子とのデートの仕方など、今自分の目の前にある暮らしに夢と希望を与えてくれる情報とわかりやすい知恵が、雑誌には満載でした。お金なんて持っていなくても、どんな工夫をすれば毎日が楽しくなるのか教えてくれました。外国の生活や風景、優れたモノなども毎号あふれんばかりに紹介されました。僕は雑誌というメディアに常に影響を受けて育ったのです。僕にとって雑誌という存在は、兄貴であり、友だちそのものでした。生活における教科書でもありました。その思いは作り手になった今でも変わらないものがあります。

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 ということで、少しばかり雑誌の話を書きます。今、雑誌は売れない時代になりました。インターネットの普及もあり、情報や知恵がいくらでも簡単に手に入るようになったからです。何か知りたいことがあったとき、本屋に走るより、パソコンを開いたほうが早いし、お金もかからない。これでは雑誌が売れないはずです。では、これから先の未来において、雑誌というメディアは無くなるのでしょうか。無くなることはないでしょう。それはまだ雑誌を読むという行為が、我々の行動パターンに残っているからです。行動パターンに残っているからには、わずかながらでも利益を生むビジネスが発生するから、存在は残ります。
 しかし、近い将来、お金を出して雑誌を買う時代ではなくなるでしょう。そういう時代がすぐそこまでやってきています。そんな馬鹿なと思う人は、世界をよく見渡せばそれが本当である事はすぐにわかります。雑誌よりも先に新聞が無くなるでしょう。欧米ではすでに、新聞はインターネットが主流になりつつあります。要するに、広告費で成り立っている新聞もしくは雑誌に、今後、広告費が入らなくなれば、収入源が断たれるために存続できなくなります。毎日読んでいる雑誌広告の割合を、何年かに亘って、調べてみるとよくわかります。確実に減っています。当然、新聞もしかり。世界中の企業がインターネット広告に払う金額は、すでに雑誌広告に払う金額を抜いているのです。
 では、雑誌を作っている僕らはどうしたらよいのでしょうか。このまま雑誌が無くなるその日まで頑張っていればいいのでしょうか。それは違います。仕事とは、かたちを変えたとしても、次の世代にバトンタッチさせていく責任があります。自分たちの時代だけ良ければ、という考えは言語道断です。蓄積された知恵と経験を、財産として社会に残していかなければなりません。さて、どうするか。
 方法はふたつ。ひとつは、あきらめずに今ある雑誌の内容をさらによくすること。雑誌が、もっと読者に役立つ存在になるように作らなければなりません。お金を出しても買いたいと思わせる内容であること。雑誌の魅力は新しさです。いかに新しさへのチャレンジを続けられるか。マンネリにならないように、いかに毎号毎号、新しさを届けられるか。それが今ある雑誌の改革にもつながります。今後、雑誌という存在が、どんどん古くなっていくのではなく、常に成長している姿を保たなければなりません。秘めたる将来への可能性を提示しなければなりません。

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 そのためには、新しさへのチャレンジはもちろんのこと、心して作らなければと思っています。読めば知識が増えること、工夫と発案が提案されること、おもしろくて楽しいこと、簡潔で読みやすい文章であること、美しい写真とレイアウトであること、知りたいことを楽しく伝えること、わかりやすくて深いところが知れること、ユニークであること、夢と希望があること、どれもが役に立つこと、遠くのことと近くのことがわかること、教えるというよりも、読者と共に知ろう、考えようとすること、自由であり公平であること、いつも読者の代表であること、あたたかな人格を持つこと、人間としての感情を持つこと、約束は守ること、礼儀正しいこと、清潔であること、笑顔であること、謙虚であること。
 こうやって書きだしてみると、簡単なようですが、これらをかたちにするのは並大抵のことではありません。
 もうひとつは、印刷媒体ではない、今までにはない新しいメディアを作ること。それはインターネット上のことかもしれないし、それとは他の新しい何かかもしれません。長年の仕事で凝り固まった頭をもみほぐして、今までにない新しいメディアを生み出すことを考える。それも一時的なものではなく永続的なものとして開発しなければなりません。それが印刷物としての雑誌メディアで育った僕らが、次の世代に手渡すものになってくれれば、ほんとうにしあわせと言えます。
 僕はいくつになっても、知りたいことや、学びたいことが山ほどあり、雑誌をはじめて買った時のようにわくわくした気持ちを忘れたくはありません。それは新しい世代の若者もきっと同じでしょう。考え方や習慣は変わったとしても、生活というものはあり続けるのだから、それに役立ち、その生活を美しく豊かにし、夢や希望を与えることのできる新しいメディアはきっとあるはずです。その一歩として、今ある雑誌の内容をもっと良くすることへのチャレンジが、小さな糸口になると信じています。常んに世界を見張りながら、目の前にある仕事と、ずっと先を見すえた仕事の両方を、バランスよく実行していくこと。それが雑誌の作り手である我々に与えられた仕事と思っています。
 雑誌より好きなもの。それを作りたいといつも考えています。次号が早く出ないかと、わくわくしながら待ちわびる気持ちをもう一度、新しいメディアで僕は味わいたい。



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