【BUSINESS INTERVIEW】上海リスタート創業者CEO 翟漢昭氏、パート派遣事業部部長 西村敦氏

创业   2024-10-09 17:40   上海  

派遣サービス利用と柔軟な働き方導入促進
コスト削減から組織の活性化までサポート

 日本の企業文化に精通し日系企業へのサポートサービスを起業した上海リスタートの創業者CEO 翟漢昭氏は、大手日系商社を中心に中国ビジネス経験豊富な西村敦氏の強力を得て、パート派遣サービスをスタートし、導入企業より高い評価を得ている。両氏に今後の抱負などについて伺った。


上海リスタート創業者CEO 翟漢昭氏(右)と、パート派遣事業部部長 西村敦氏


Zhai Hanzhao●山東省出身。上海対外貿易学院卒業(日本語専攻)、中央大学経済学修士課程修了、日本留学を挟み、上海にて日系大手飲料会社や大手化学品会社などに勤務。その後2017年に上海リスタートを起業、現在に至る
派遣社員導入で、配置転換やスタッフの生産性アップ

まずご自身のキャリアについてご紹介ください。
 私は、日本の大学院修了後、日系企業で通訳、総務、営業職として食品・化学業界に従事しました。日系企業との強いつながりを持つ中で、中国における日系企業の課題や、働く女性の就労ニーズに注目し、2017年に派遣社員サービスを立ち上げました。
 中国でも家庭と仕事を両立させるため「パートタイムで働きたい」という女性が増加する中、固定費用を抑えるためにパートタイム社員を採用したい企業も増えてきました。日本在住時から、日本では派遣社員システムでこの問題を柔軟に解決していることを理解していましたので、弊社はこの2つのニーズをマッチさせることを目的にしております。
派遣社員サービスの浸透具合についてはいかがですか。
 派遣社員サービスにつきましては、とても好評で多くの日系企業にご利用いただいております。子育てなどで家庭に戻っていた女性が子どもの成長とともに社会復帰を実現する良いシステムとなっており、女性の弾力的な働き方改革に貢献できていると思います。
 また、最近は早期退職する男性社員も出てきており、経験豊富な男性社員が派遣社員サービスを利用することで、短い期間で社会復帰を実現するケースもあります。私どもに人材登録をしている求職中の方は、30代から50代が多く、日系企業での仕事経験が豊富で、熱意もあります。日本語を話すことができる、経理やITなどの専門知識、工場や倉庫勤務経験などを持つ多種多様な即戦力人材が登録しております。

派遣社員サービス導入の事例とメリットをお伺いいたします。
 経理アシスタントとして週に数回の帳簿作成及び、月末の帳簿締めの仕事を集中的にサポートしてもらうといった導入事例がございます。別の企業では、営業アシスタントとして発注書の作成や輸出入手続きのサポート、さらに展示会での通訳対応など、多岐にわたる業務を担当し、生産性向上に貢献しています。また、パソコンヘルプサービスの電話対応、必要に応じてオフィスを訪問して対応するケースもあります。専門家を雇うコストの30%程度で済む場合もあります。勤務先と派遣社員のニーズにマッチした柔軟性のある運営がされております。

―派遣社員や受け入れ企業との信頼関係についてお聞かせください。
 弊社では、派遣社員と企業の双方が安心して働けるよう、厳格な採用プロセスを設けています。派遣社員には、定期的な面談を行い、状況に応じたサポートを提供しています。また、受け入れ企業に対してもヒアリングを実施し、双方のニーズに応じた調整を行っています。
 これまでの経験から弊社は、派遣社員および受け入れ企業の同じ職場で働く方との信頼関係醸成に注力。おかげさまで、日系大手企業での派遣社員サービスの導入事例が増えております。また、総務部で導入後、人事部・経理財務部、営業部へが次々に導入するなど、他の部門へ波及していくケースも多く見かけます。コスト削減効果を実感していただけている証拠かと思います。

―部門の活性化と生産性アップの効果もあると伺いました。
 派遣社員サービスを利用することのもう一つのメリットは、その部署の生産性を上げることです。仕事量と人材の数がアンバランスになっている部署には、派遣社員を導入することで、人材の配置転換や既存スタッフの仕事生産性のアップが図れます。長くその部署にいて緩い仕事環境を楽しんでいる社員にも派遣社員に置き換えられるのではという危機感が出てきて、これまで以上に熱心に働くようになる例も多数ございます。収益の伸びなくなった企業は、構造的変革を迫られている場合も多くあります。その際、部署ごとの生産性を見直し、積極的に派遣社員サービスを利用することが生き残りのために必要なケースが見られます。行動の時がきているかもしれません。是非検討してみてください。

にしむら・あつし●1988年、慶應義塾大学法学部卒業後、日系大手総合商社に入社。食料部門でのキャリアを広げる。90~93年に北京駐在。2000~01年、会社の労働組合委員長に就任。02~03年オランダ駐在後同社退職。2003年以降、食品メーカーおよび商社での勤務を経て、09~16年にも上海駐在を経験。18年に上海対外服務公司(FESCO)に入社。20年より現職。20年、仏Brest Business School経営学修士課程修了(オンライン講座)。新HSK6級合格
先送りにせず、問題を真正面から受け止めて実行に

―これまでのキャリアについてご紹介ください。

 1988年に大学卒業後、日系商社の食品部門並びに食品メーカーに勤務し、日中間の食品ビジネスに長く携わりました。その間、10数年中国に駐在も経験。2018年より、一転して人事関係の仕事に中国で従事していますが、最初は上海対外服務公司(FESCO)にて、給与・社会保険業務のアウトソーシング業務に携わり、20年から上海リスタートにてパート派遣業務の事業部長を務めています。
 これまで36年のビジネスキャリアのうち、18年の中国キャリアを重ねることとなり、多角的な視野でビジネスをとらえることができ、日系企業の直面する課題を総合的に判断できるようになってきたのではと感じております。

―貴社が支援している企業の具体的な取り組みを教えてください。

 中国企業も、これまでの高度成長から構造的な調整が必要な時代に入りました。特に古くから進出している企業でも、業務の見直しを行っている企業が増えつつあるという実感がございます。私どもがお手伝いしている会社は、総務・人事・財務・経理の管理部門を中心に、正社員が行う仕事とパート派遣者にお願いする仕事とを分け、間接部門のコストを削減する一方、戦略的にウエイトの高い分野、例えば、営業にプロパーの人材リソースを回すなど柔軟性のある取り組みをしております。
 パート派遣の受け入れについては、総務部を入り口に、人事、財務・経理部などに広げていくなど段階的に進めて成果を上げている企業も増加しております。
 さらに、パート派遣を利用する領域は、営業関係の補助業務(貿易関係のアシスタント業務など)にも広がっています。デスクワークだけでなく、工場、倉庫、建設現場などの点検作業、検品作業、現場作業監督(臨時の工事現場監督や、器具類などの装置取り付け作業監督)といったブルーカラーの仕事もパート派遣を利用される場合が増えております。工場や倉庫勤務経験者がその経験を生かして業務を受託していますが、日本語を話せる優秀な派遣人材も増えてきております。

―今後の抱負をお聞かせください。
 私自身は、これまで培ったネットワーク、知識、経験をもとに、様々な日系企業との接点を広げ、それぞれの企業の抱える問題点についてご相談を受けることも多くなってきております。かつて、日本も高度経済成長時代が終わり、いわゆる「ゆとり教育世代」が就労するようになりました。働くことの価値観が変わり、派遣社員やアウトソーシングという働き方が社会に定着してきました。まさに中国でも同じような現象が起きているように思います。構造的な問題を抱える企業も、いち早くこの問題に立ち向かったことで、逆に職場が活性化し、新たなスタートを切れたケースもございます。先送りをするよりも、問題を真正面から受け止めて実行に移す方が、良い結果がでることがあるということも感じます。私もこれまでの経験を生かし、残りのキャリアを中国の地で、皆さんとWin-Winの関係を構築し、企業の抱える問題の解決のお役に立てるよう努力していきたいと思います。是非お気軽にお問合せくださいませ。

[上海重啓企業管理咨詢有限公司(上海リスタート)]
住所:上海市閔行区都庄路4226号福克斯中心C306室 
電話:021-6488-7015、173-0183-5050、177-1709-4636
URL:www.restartsh.cn


※インタビュー及び提供資料に基づく情報はすべて取材対象者に由来しており、本誌がこれらの情報の正確性と完全性について、保証するものではありません。


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