派遣サービス利用と柔軟な働き方導入促進
コスト削減から組織の活性化までサポート
日本の企業文化に精通し日系企業へのサポートサービスを起業した上海リスタートの創業者CEO 翟漢昭氏は、大手日系商社を中心に中国ビジネス経験豊富な西村敦氏の強力を得て、パート派遣サービスをスタートし、導入企業より高い評価を得ている。両氏に今後の抱負などについて伺った。
上海リスタート創業者CEO 翟漢昭氏(右)と、パート派遣事業部部長 西村敦氏
―まずご自身のキャリアについてご紹介ください。
中国でも家庭と仕事を両立させるため「パートタイムで働きたい」という女性が増加する中、固定費用を抑えるためにパートタイム社員を採用したい企業も増えてきました。日本在住時から、日本では派遣社員システムでこの問題を柔軟に解決していることを理解していましたので、弊社はこの2つのニーズをマッチさせることを目的にしております。
派遣社員サービスにつきましては、とても好評で多くの日系企業にご利用いただいております。子育てなどで家庭に戻っていた女性が子どもの成長とともに社会復帰を実現する良いシステムとなっており、女性の弾力的な働き方改革に貢献できていると思います。
また、最近は早期退職する男性社員も出てきており、経験豊富な男性社員が派遣社員サービスを利用することで、短い期間で社会復帰を実現するケースもあります。私どもに人材登録をしている求職中の方は、30代から50代が多く、日系企業での仕事経験が豊富で、熱意もあります。日本語を話すことができる、経理やITなどの専門知識、工場や倉庫勤務経験などを持つ多種多様な即戦力人材が登録しております。
―派遣社員サービス導入の事例とメリットをお伺いいたします。
経理アシスタントとして週に数回の帳簿作成及び、月末の帳簿締めの仕事を集中的にサポートしてもらうといった導入事例がございます。別の企業では、営業アシスタントとして発注書の作成や輸出入手続きのサポート、さらに展示会での通訳対応など、多岐にわたる業務を担当し、生産性向上に貢献しています。また、パソコンヘルプサービスの電話対応、必要に応じてオフィスを訪問して対応するケースもあります。専門家を雇うコストの30%程度で済む場合もあります。勤務先と派遣社員のニーズにマッチした柔軟性のある運営がされております。
これまでの経験から弊社は、派遣社員および受け入れ企業の同じ職場で働く方との信頼関係醸成に注力。おかげさまで、日系大手企業での派遣社員サービスの導入事例が増えております。また、総務部で導入後、人事部・経理財務部、営業部へが次々に導入するなど、他の部門へ波及していくケースも多く見かけます。コスト削減効果を実感していただけている証拠かと思います。
―これまでのキャリアについてご紹介ください。
1988年に大学卒業後、日系商社の食品部門並びに食品メーカーに勤務し、日中間の食品ビジネスに長く携わりました。その間、10数年中国に駐在も経験。2018年より、一転して人事関係の仕事に中国で従事していますが、最初は上海対外服務公司(FESCO)にて、給与・社会保険業務のアウトソーシング業務に携わり、20年から上海リスタートにてパート派遣業務の事業部長を務めています。
これまで36年のビジネスキャリアのうち、18年の中国キャリアを重ねることとなり、多角的な視野でビジネスをとらえることができ、日系企業の直面する課題を総合的に判断できるようになってきたのではと感じております。
中国企業も、これまでの高度成長から構造的な調整が必要な時代に入りました。特に古くから進出している企業でも、業務の見直しを行っている企業が増えつつあるという実感がございます。私どもがお手伝いしている会社は、総務・人事・財務・経理の管理部門を中心に、正社員が行う仕事とパート派遣者にお願いする仕事とを分け、間接部門のコストを削減する一方、戦略的にウエイトの高い分野、例えば、営業にプロパーの人材リソースを回すなど柔軟性のある取り組みをしております。
パート派遣の受け入れについては、総務部を入り口に、人事、財務・経理部などに広げていくなど段階的に進めて成果を上げている企業も増加しております。
さらに、パート派遣を利用する領域は、営業関係の補助業務(貿易関係のアシスタント業務など)にも広がっています。デスクワークだけでなく、工場、倉庫、建設現場などの点検作業、検品作業、現場作業監督(臨時の工事現場監督や、器具類などの装置取り付け作業監督)といったブルーカラーの仕事もパート派遣を利用される場合が増えております。工場や倉庫勤務経験者がその経験を生かして業務を受託していますが、日本語を話せる優秀な派遣人材も増えてきております。
私自身は、これまで培ったネットワーク、知識、経験をもとに、様々な日系企業との接点を広げ、それぞれの企業の抱える問題点についてご相談を受けることも多くなってきております。かつて、日本も高度経済成長時代が終わり、いわゆる「ゆとり教育世代」が就労するようになりました。働くことの価値観が変わり、派遣社員やアウトソーシングという働き方が社会に定着してきました。まさに中国でも同じような現象が起きているように思います。構造的な問題を抱える企業も、いち早くこの問題に立ち向かったことで、逆に職場が活性化し、新たなスタートを切れたケースもございます。先送りをするよりも、問題を真正面から受け止めて実行に移す方が、良い結果がでることがあるということも感じます。私もこれまでの経験を生かし、残りのキャリアを中国の地で、皆さんとWin-Winの関係を構築し、企業の抱える問題の解決のお役に立てるよう努力していきたいと思います。是非お気軽にお問合せくださいませ。
※インタビュー及び提供資料に基づく情報はすべて取材対象者に由来しており、本誌がこれらの情報の正確性と完全性について、保証するものではありません。
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