【BUSINESS INTERVIEW】日郵物流(中国)有限公司 董事長 総経理 永溝香織氏

创业   2024-11-12 17:40   上海  

「One Team」で挑むグローバル物流
変化激しい中国市場への戦略•サービス

 「日郵物流(中国)有限公司」は「世界で認められ選ばれ続けるサプライチェーン・ロジスティクス企業となり、ビジネスと社会の持続的な発展に貢献する」ことをミッションに掲げる日系大手ロジスティクス企業「郵船ロジスティクス株式会社」の中国現地法人。急速に変化する中国経済下、新たな挑戦に臨む同社の董事長・総経理の永溝香織氏に、同社の現況そして今後の展望について伺った。

郵船ロジスティクス株式会社 執行役員 東アジア地域代表
日郵物流(中国)有限公司 董事長 総経理
永溝香織氏

ながみぞ・かおり●1992年郵船航空サービス株式会社(現・郵船ロジスティクス株式会社)に入社(営業部門 カスタマーサービス)。97年にマレーシア現地法人出向 海外長期研修員 (グローバルマネジメント研修)、98年から営業部門 新規開拓営業を経験。2010年から16年には営業部門営業課長グローバルキーアカウントマネージャーに就任すると、16年からグローバル開発営業部門副部長・部長 、18年から経営企画部門部長 、20年から23年はグローバル本社最高開発営業責任者執行役員(開発営業部門/サプライチェーン・ソリューション部門担当)を歴任した。23年から24年3月に郵船ロジスティクス株式会社執行役員・東アジア地域総括兼日郵物流(中国)有限公司董事長を経て、2024年4月より現職


―貴社のビジネスについてお伺いします。

 「日郵物流(中国)有限公司」はサプライチェーン・ロジスティクス日本大手の「郵船ロジスティクス」の中国現地法人として2000年に設立されました。現在、中国に22カ所の支店と営業所、及び約70カ所の物流・倉庫拠点を持ち、1100人余りのスタッフで総合的なロジスティクスサービスを提供しております。親会社の郵船ロジスティクスは46の国と地域、375都市に650拠点、2万5000名以上の従業員を擁し、中国をはじめとしたグローバル展開が郵船ロジスティクスグループの大きな強みです。(※)
 中国経済の発展とともにお客様のニーズが複雑・高度化しており、弊社もそれに対応するためサービス体制を拡充しております。海上・航空貨物輸送や、保管から荷役、流通加工、輸配送、物流情報管理までを一括して請け負う「コントラクト・ロジスティクス」及び原材料や部品調達、販売などの物流管理をサポートし、業務効率化とコスト削減を目指す「サプライチェーン・ソリューション」まで、要望にお応えできる経験豊富な専門人材を養成しております。
 例えば、「コントラクト・ロジスティクス」について弊社では、経験豊富なスタッフが倉庫拠点と、海上・航空・陸上貨物輸送、物流・情報技術を組み合わせ、お客様のご要望にあった最適なサービスを提供しています。また、「サプライチェーン・ソリューション」では、専門チームによる物流診断やサプライチェーン・コンサルサービスを提供。お客様のサプライチェーンの現状を可視化し、在庫適正化など抽出した課題の根本解決に向け提案を行いながら、お客様の物流改善をサポートしています。複雑高度化するサプライチェーンの一元管理を求めるお客様に対しては、弊社の課題解決プラットフォーム「Yusen Vantage」による物流の可視化と効率的なサプライチェーン・マネジメントをご提案しています。


※「郵船ロジスティクス」は連結売上約2兆4000億円、従業員約3万5000人を有する、大手海運会社「日本郵船株式会社」グループの中核を担う総合物流企業

水素トラック導入式典で挨拶

―「One Team」をモットーとして掲げられたそうですね。
 物流の業務は、多くの人々が共同して作り上げるサービスです。それを支えるスタッフ全体のチームワークがとても大切となります。私が中国で仕事をして感じるのは、それぞれの分野の専門的知識もあり、経験豊富なスタッフもたくさんいますが、どうしても横断的な共同作業に関心が持てていない印象です。そこで、本年より全社で「One Team」をモットーに、お客様へのシームレスで安心安全なサービス提供を推進しております。サプライチェーン・ロジスティクスは、その過程で様々なトラブルが発生することがあります。中には天候などに起因する不可抗力によるものもありますが、弊社はこれらのトラブルに真摯に対応することを常日頃より心がけることで、お客様から評価をいただいていると思います。弊社の一人一人が「One Teamスピリット」を持つことで、お客様からお預かりしている荷物に対し、最適で安心安全なサービス提供を完遂できると思っております。

輸入博での一枚(左から2番目が本人)


―ご経歴をお聞かせください。
 私は入社以来、名古屋と東京を中心に長年営業のキャリアを歩んできました。営業業務は毎日が現場の仕事。常にお客様の声を直接お聞きすることができ、仕事の結果がリアルタイムにわかるのでとてもエキサイティングな仕事だと思ってきました。グローバル展開を図る企業が増加したこともあり、お客様のニーズも複雑多様化しましたし、弊社も拠点拡大、企業統合・買収などを進めながら、グローバルネットワークを拡大させ、お客様のニーズに応えてきました。入社時よりも仕事の内容がダイナミックになっており、とても面白く思っております。
 さらに、2018年より経営企画部長、20年より開発営業部門統括執行役員と経営業務も増加。その一方、現場からは離れてきたので、海外で現地法人の社長として会社全体の経営運営をしたいという気持ちを持っていました。幸いなことに24年より変化の激しい中国現地法人最高責任者の任を授かり、責任の重さを感じる一方で、現場により近くなり、結果を日々感じられるエキサイティングな毎日を送っております。

―ビジネスの変化や今後の展開などについてお聞かせください。
 コロナ禍以前は、日系の自動車及びその関連部品の取り扱い量が非常に多かったですが、現在はEコマース系の消費財、半導体関連品、エネルギー関連品の比重が高くなってきております。欧米系企業では、東南アジアを含めたアジア地域域内物流が増加。また、中国系自動車メーカーのNEV(電気自動車)及びその部品の輸出が伸びております。弊社ではこうした企業への対応も活性化していきたいと考えております。中国ローカル企業にも弊社の責任あるトラブル対応や、グローバルネットワークを高く評価いただき、受注も徐々に増加しております。弊社がかつて、日系企業のグローバルロジスティクスパートナーとして起用されてきたように、中国企業のグローバル展開に貢献する形でロジスティクス分野での協力関係を築いていきたいと考えております。 

 25年よりESGレポートの開示が中国でも義務化されます。これらを意識し、「グリーンソリューション」に関心のある日系企業も増加しているように感じます。弊社は5月、環境に配慮したサプライチェーンの構築を目指す、村田製作所グループの輸送に水素燃料電池トラックを導入しました。同車は、村田製作所の江蘇省無錫市の生産工場から蘇州市への配送を担います。弊社はお客様と共に持続可能な成長を生み出すパートナーとして、今後も長期視点を持った取り組みを推進していきます。 

 さらに弊社は来年、湖北省で新たな貨物空港ターミナルをスタートします。22年に開業した湖北省鄂州市の鄂州花湖空港は今後、航空貨物輸送のアジア最大級のハブ空港へと成長することが期待されており、弊社は地元企業とのジョイントベンチャーとして自社ターミナルを設立。2025年5月から貨物ターミナル事業、および貨物チャーター手配事業を順次運用予定です。中国の中心部に位置する湖北省を中継基地とした新たな輸送モデルの開発や、海上貨物・航空貨物・鉄道を活用した複合輸送及び倉庫拠点の提案といった新しい価値を提供し、お客様のサプライチェーン構築に貢献したいと思っております。


郵船ロジスティクス株式会社「深圳年会」にて

―ところで、週末はどのようにしてリフレッシュされていますか?
 弊社の社内公用語は英語なので、中国語なしでもほぼ交流はできますが、話せた方が便利なので、週末を中心に中国語を勉強しています。また、街歩きが好きなので、公共交通機関を利用して様々な場所に出かけて街巡りを楽しんでいます。上海も古いところと新しいところが混在しており、そのギャップが面白いですね。また、ローカルレストランで食事し、家でレシピを再現したりしています。日本にない野菜や調味料などがあり、とても楽しいです。

―最後に読者へのメッセージをお願いします。
 弊社の社内公用語は英語なので、中国語なしでもほぼ交流はできますが、話せた方が便利なので、週末を中心に中国語を勉強しています。また、街歩きが好きなので、公共交通機関を利用して様々な場所に出かけて街巡りを楽しんでいます。上海も古いところと新しいところが混在しており、そのギャップが面白いですね。また、ローカルレストランで食事し、家でレシピを再現したりしています。日本にない野菜や調味料などがあり、とても楽しいです。

9月24日開催の社内ゴルフコンペ(前列左から3番目が本人)

日郵物流(中国)有限公司公式WeChat

[日郵物流(中国)有限公司]
住所:上海市長寧区長寧路1133号長寧来福士オフィスタワー1 8、9階
電話:021-2220-7500/7000
メール:ylcn.ml.ylcn.bdd@cn.yusen-logistics.com
URL:www.yusen-logistics.com/cn_en/

※インタビュー及び提供資料に基づく情報はすべて取材対象者に由来しており、本誌がこれらの情報の正確性と完全性について、保証するものではありません。


END


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